群発頭痛の原因は、実はまだ完全には解明されていません。
「なぜ毎日同じ時間に痛くなるのか」「なぜ片目の奥だけが痛むのか」「なぜ涙や鼻水まで出るのか」——群発頭痛を経験した人なら、誰もが抱く疑問でしょう。
現在わかっているのは、脳の「体内時計」を司る視床下部の異常と、顔の感覚を伝える三叉神経の過剰な興奮が深く関わっているということ。
この記事では、群発頭痛が起きるメカニズムをできるだけわかりやすく整理した上で、発作の引き金になるもの、なりやすい人の特徴まで、当事者の体験を交えながら解説します。
群発頭痛ラボ|運営者
まつ
2023年3月に群発頭痛を発症した20代女性。
二度の群発期を乗り越え、現在は寛解期。
当事者目線と医学的根拠の両方を大切にしながら、情報を発信しています。

群発頭痛はなぜ起きる?有力な説をわかりやすく紹介
ここでは群発頭痛が起きる要因として、提唱されている説を紹介します。
筆者原因を調べてみても、出てくるのは難しい単語ばかり……。と悩んだ方も多いでしょう(私もその一人です)。
しばらく専門用語が続きますが、なるべく噛み砕いてまとめますので、ぜひ参考にしてくださいね。
毎日同じ時間に痛むのはなぜ?
最も有力視されているのが、脳の「視床下部(ししょうかぶ)」に異常が生じているとする説です。
視床下部とは、脳の深部に位置する小さな組織で、体温調節・睡眠など、「体のリズム(サーカディアンリズム)」をコントロールする役割を担っています。
「頭痛の診療ガイドライン2021」によれば、群発頭痛の患者さんを対象にした検査で、視床下部の後部が活性化していることが判明しています。
つまり、何らかの原因で視床下部が活性化・腫れることで、激しい痛みが起こるという説と捉えるとわかりやすいでしょう。



当事者からすれば「何らかの理由とは?」と歯痒い気持ちになりますが、早く原因が解明されてほしいですね。
目の奥がえぐられるように痛む原因
2つ目の説は、脳内物質である「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」が関わっているという説です。
「頭痛の診療ガイドライン2021」では、群発頭痛の発作時に、頸動脈内を流れる「CGRP」が増加しており、三叉神経が活性化していることが認められました。
注目すべきなのは、酸素吸入・スマトリプタン注射によって、CGRPの値が正常に戻ったという点です。



つまり「三叉神経の血管内でCGRPが増える=激しい痛みが起きる」という式が証明されたことになります!
目の奥の血管が腫れている?
次の説は、目のすぐ後ろを通る内頸動脈の周辺で、トラブルが起きているとする説です。
主に以下3つが提唱されており、噛み砕いて比較します。
| 説の名前 | どこで起きている? | 起きていること |
| 海綿静脈洞説 | 目の奥の血液の「プール」 | 血管が膨らんで出口をふさぎ、血液が溜まって圧迫される |
|---|---|---|
| 海綿静脈洞近傍説 | 神経が集まる「交差点」 | 痛みや自律神経の束が一斉に興奮し、血管を広げる |
| 破裂孔近傍説 | 骨の中の「狭いトンネル」 | 血管が腫れて、隣を通る神経を物理的に押しつぶす |
直接的な原因はわかりませんが、「血管・神経でトラブルが起きた結果、激烈な痛みが引き起こされる」と考えるとわかりやすいです。
涙・鼻水・充血もセットで起きる原因
群発頭痛では激烈な痛みに加え、涙や鼻水、目の充血といった自律神経系の症状が出ます。
この説では、顔の神経である「三叉神経」が興奮した結果、「副交感神経」に飛び火することで、自分の意思とは関係なく随伴症状が出ると推測されています。
- 視床下部が命令を出す
- 三叉神経が激しく興奮
- 興奮が副交感神経へ伝わる
- 涙・鼻水・充血が発生
- CGRPなどの物質が放出



先ほども視床下部の話が出ましたが、やはりこの部分が「黒幕」のようですね。
その他の説
ここまで4つの説を挙げてきましたが、残りの説をまとめて紹介します。
| 注目されている要素 | 役割・特徴 | 群発頭痛との関わり |
| エストロゲン | 女性ホルモンの一種 | ホルモンバランスの変化が発症のきっかけになる可能性 |
|---|---|---|
| オレキシン受容体 | 脳の「目覚め」を受け取る窓口 | 遺伝子のわずかな違い(多型)が、なりやすさに影響? |
| PACAP | 血管を広げ、痛みを伝える物質 | この物質を受け取る仕組みが、群発頭痛患者では特徴的 |
| ネプリライシン | 脳内の物質を掃除する酵素 | 物質の処理能力に関わる遺伝子が関係している可能性 |



ただし上記は明らかではないことも多いため、参考程度に見ておくのがよいでしょう。
群発頭痛の発作を引き起こす原因(トリガー)
次に、群発頭痛の発作を引き起こす原因(トリガー)について見ていきましょう。
アルコール
「お酒を飲むと必ず発作が来る」という方は少なくありません。
「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、群発頭痛の誘因・増悪因子として「アルコール」の記載があります。



お酒が好きな方はつらいですが、群発期だけでも摂取を控えることをおすすめします。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮・拡張させる作用があります。
この血管の拡張によって発作が引き起こされることがあるので、群発期は喫煙も禁忌となります。
また、自分が吸わない場合でも、家族やパートナーが喫煙している場合には「受動喫煙」のリスクもあり注意が必要です。



群発頭痛を発症した場合は、禁煙に努め、周囲の方の理解も得ておくと安心です。
睡眠リズムの乱れ
群発頭痛は、体内リズム(視床下部)の異常が発症に深く関わっているとされています。
よって夜更かしや昼夜逆転、睡眠不足などが続くと、視床下部に異常をきたして発作が起きる可能性が高くなります。



とはいえ、睡眠中に発作が来る方も少なくないので(私もそうでした)。睡眠リズムを整えることは難しいですよね。
なるべく睡眠不足を避けるために、発作時は早めにトリプタン皮下注・点鼻薬を使用するなどの工夫が大切です。
気圧の変化・季節の変わり目
飛行機・スキューバダイビングなども発作のトリガーとなります。
加えて、気温差が大きい春先や、台風が多い夏~秋にかけては気圧の変動で、頭痛が生じる方が多いです。



私も初めての発作は3月に起き、次の群発期は10月にやってきました。
季節の変わり目が近づいたら予防薬を服用する、生活リズムを一定にするなどの対策をしておきましょう。
湯船に浸かる・サウナに入る
湯船やサウナなど、血管を拡張させる行為も頭痛の原因となります。



私も群発期にはお風呂に入ると必ず発作がきており、シャワーで済ませていました。
どうしても湯船に浸かりたい場合は、ぬるめのお湯を張って短時間で入浴することをおすすめします。
ストレスは誘因になる?
「お茶の水頭痛めまいクリニック」さんによれば、以下の記載があります。
一般的にストレスや筋肉の緊張などの身体的・精神的な原因によって引き起こされることが多いと言われています。
引用:お茶の水頭痛めまいクリニック|群発頭痛は何で悪くなる頭痛?(群発頭痛の誘発因子・増悪因子)
三叉神経・視床下部の活性化が原因とされていることからも、ストレスが加わると神経系に影響を及ぼす可能性は十分に考えられるでしょう。



ストレスをため込まないように、趣味や軽い運動など、発散できる手段を持っておくことが大切です。
群発頭痛になりやすい人の特徴
「群発頭痛になりやすい人の特徴は?」と気になる方もいるでしょう。
ここでは「頭痛の診療ガイドライン2021」と、私の体験談をもとに、群発頭痛になりやすい人・なりにくい人を見ていきます。
年齢・性別・生活習慣
「頭痛の診療ガイドライン2021」によれば、発症年齢は以下のように報告されています。
- 男性:29~40歳
- 女性:24~40歳
また、同資料では男女比についても記載があり、1990年代の報告では3.5:1と、男性のほうが群発頭痛になりやすいことがわかっています。
加えて、群発頭痛の患者には大酒飲み・ヘビースモーカーが多いとも記載されており、これらの条件が「なりやすい人」に当てはまると考えられます。



ただし、私は21歳の時に発症し、飲酒も喫煙もしていなかったので、外れ値はありそうですね。
女性でも群発頭痛になる?
群発頭痛は男性に多い疾患とされていますが、女性でも発症する病気です。
平均発症年齢は24~40歳とされており、これは男性の29~40歳と大きくは変わらない結果になっています。



私も女性ですが、21歳のときに群発頭痛を発症したので、今や性別は関係のない病気と言えるかもしれませんね。
遺伝は関係する?
「頭痛の診療ガイドライン2021」によれば、群発頭痛には遺伝要因があるとされています。
とくに群発頭痛の患者においては、1親等(父・母・子)が群発頭痛を持っている可能性は通常より5~18倍高いと記載があります。



私の知り合いでも、親子ともに群発頭痛を持っているという人がいました。
ただし、必ずしも遺伝するとは限らないのと、どのようにして遺伝するのかは不明なので、今後の研究が進むことが待たれますね。
妊娠中は群発頭痛にならない?
妊娠中は群発頭痛の発作が出ないという方もいるようです。
ただし、インターネットで検索してみると妊娠中に群発期が来た、という声も一部見受けられました。
妊娠中は群発頭痛にならないのは有名な話ですが、今回の患者様は珍しく妊娠中に群発期に入ってました。
悠鍼灸院・整骨院・整体院|群発頭痛症例 NO67 妊娠中から始まってしまった群発頭痛



妊娠中は薬が制限されるので、万が一群発期が来た場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
【体験談】私の場合のトリガー
私の場合は、以下の行動をとったときに発作が来ていました。
- 湯船につかる
- 不規則な生活をする
- 寝る
- 季節の変わり目(10月ごろ)



3つ目は特にひどく、就寝時は眠り始めて30分~1時間で必ず発作が来ていました。


さらに二度目の群発期は、ちょうど季節の変わり目である10月ごろに起き、目の奥のモヤモヤ感・鼻の奥のツンとする感覚が予兆でした。



人によってトリガーはさまざまだと思いますので、当事者の方はぜひ本サイトにコメントを残していただけると嬉しいです!
よくある質問
ここでは群発頭痛の原因・トリガーに関して、よくある質問に回答します。
群発頭痛の原因はストレスですか?
データはありませんが、ストレスが発作を引き起こす誘因にはなりえます。
なぜなら、群発頭痛は三叉神経・体内時計(視床下部)の異常が原因とされており、ストレスがこれらの神経系を刺激する可能性があるからです。
発症や発作を避けるためには、なるべくストレスをためないように心がけたいですね。
群発頭痛の死亡率は?
群発頭痛の痛みが原因で死亡することはありません。
しかし、あまりの痛みに「死にたい」と思ってしまう可能性は、十分にあります。
もし希死念慮に襲われた場合は、かかりつけ医や精神科・心療内科に必ず相談してください。
群発頭痛で食べてはいけないものは?
群発頭痛で飲食を避けるべきものは、以下の通りです。
- アルコール類
- 辛い物(血管を拡張させるため)
- チョコレート・ソーセージなど(ヒスタミンを多く含む)
とくにアルコールは即座に発作を引き起こすリスクがあるので、禁酒を心がけましょう。
群発頭痛を和らげる方法は?
群発頭痛を和らげる方法は、以下の通りです。
- 処方された薬を服用する
- 冷えピタ・アイスノンでおでこを冷やす
- アイマスクをつける
- 動き回る・痛みを声に出す



1番目以降は気休めですが、やらないよりはましですよ!
まとめ
この記事では、群発頭痛の原因・トリガー・なりやすい人の特徴について解説しました。
群発頭痛の原因は完全には解明されていませんが、現在有力とされているのは「視床下部の異常」と「三叉神経の過剰な興奮」が深く関わっているという説です。
発作時にはCGRPという脳内物質が増加していることも確認されており、研究は少しずつ進んでいます。
発作のトリガーとしては、アルコール・喫煙・睡眠リズムの乱れ・気圧の変化・入浴やサウナなど、血管の拡張や体内リズムの乱れにつながる行動が挙げられます。



トリガーは人によって異なるため、自分のパターンを把握しておくことが大切です。
なりやすい人の特徴としては、20〜40代の男性に多いとされていますが、女性でも発症するケースは珍しくありません。
原因がすべて解明されていない以上、「完全に防ぐ」ことは難しいのが現状です。
自分のトリガーを知り、生活リズムを整え、群発期には早めに医療機関を受診することが、いまできる最善の対策と言えるでしょう。



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